通常の宅地に比べて、農地を転用して住宅を建てる場合の土地の価格は格安であることから、農地転用の中でも需要の多い手続きです。
市街化区域の農地であれば、それほど問題はありませんが、市街化調整区域の農地の場合は、簡単ではありませんので、注意が必要となります。
なお、実際に農地転用許可を受ける場合には、下記表の基準の他に、立地基準や一般基準、分家要件又は既存宅地の要件等も併せて満たす必要があります。
どれか一つでもクリア出来ない項目があれば不許可となってしまいますし、更に、これらの農地法上の許可を全てクリアしたとしても開発許可等が下りない場合もありますので、調査は多方面から慎重に進めることが肝心です。
住宅等の建設を伴う農地転用許可の審査基準 | 審査に必要な書類 |
敷地の形状,建物の配置等から必要最小限度の面積であるかどうか? ① 一般専用住宅 建築面積の22分の100以内の面積(物置・車庫等は含める)とし,上限は、おおむね500平方メートル(法面,進入路等を除く有効面積)になります。 ただし,公共事業の代替地の場合は,効率的な土地利用計画のものに限り,従前地の面積を限度として許可可能となっております。 ② 農家住宅 |
建物等施設の平面図 土地利用計画図 建物等施設の平面図, |
◆分家要件(市街化調整区域内の農地に住宅を建設する場合)
市街化調整区域では、開発が制限されており、一部の例外を除いては住宅等の建設は出来ませんが、その例外の一つが分家住宅です。
分家とは、市街化調整区域にある農地を所有している方(本家)から見て上図の赤枠の範囲内にある方になりますが、分家住宅として許可を得る為には、主に下記の要件を満たす必要があります。
(イ)本家たる世帯が市街化調整区域内にあること。ただし、申請地と本家たる世帯が市街化調整区域の決定又は拡大の際に市街化区域と市街化調整区域に分断された場合であって、申請地と本家たる世帯が同一既存集落内にある場合はこの限りではありません。
(ウ)結婚、家族の増加、Uターンなど住宅の建築が必要な合理的理由があること。
(エ)申請者又はその配偶者が本家たる世帯に属する方から3 親等以内の方であり、かつ、本家たる世帯に属する方又は属していた方であること(過去に本家世帯に属していた様な場合であっても、住民票等で確認できれば許可は可能です)。
*土地の取得が線引きより後の場合でも、建築予定地が指定既存集落内かその周辺であれば、建築できる場合もあります。
なお、本家世帯が、現在住宅が狭小、被災、借家等の理由から既存集落内に線引き前から所有する土地において新規に建築する場合は下記の要件を満たす必要があります。
(イ)現在居住している住宅について、狭小、借家等新たに住居を建築することがやむを得ないと認められること。
(ウ)申請者は線引き前から存する世帯に属している方であること。
◆既存宅地での住宅建築
自己居住用の専用住宅であって、次の要件を満たす場合は、市街化調整区域内であっても許可される場合があります。
(イ)線引き時点において、既に宅地であったことが明らかな土地であって、次のいずれかの要件を満たすもの。
b 固定資産課税台帳上宅地の評価がされていること。
c 農地法の規定による農地転用の許可又は建築基準法の規定による道路位置指定等を得て宅地化されていたこと。
d 航空写真その他の資料から線引き時点における現況が宅地であったことが認められるもの。
また、線引きの際、宅地建物取引業者が既に造成中であった団地で、その旨を県に届出をしていた団地における自己居住用の住宅の建築又は居住者の変更に係る用途の変更をする時も許可される場合があります。