農地転用許可を考える場合、まず最初に立地基準を満たすかどうかを確認します。これをクリアしたあと、次にすることは、農地転用の確実性(土地の造成だけを行う転用は、市町村が行うもの等を除き認められません)や周辺農地等への被害の防除措置の妥当性などを審査される、下記の一般基準と呼ばれる項目を一つ一つ確認する作業になります。
なお、農地転用をする目的は、住宅建設や建売分譲住宅の建築、駐車場、資材置き場、宅地分譲、土採取事業、植林等、さまざまだと思いますが、いずれの目的であっても、下記表の要件は満たす必要がありますので、ご注意ください。
審査項目 | 審査に必要な書類 |
◆申請目的実現の確実性に関する審査項目 次のいずれかに該当するときには,許可されません。 ① 転用行為を行うのに必要な資力及び信用があると認められない場合。
(法第4条及び第5条第2項第3号) 資力については,自己資金あるいは借入金による場合は,それぞれを証する 書面によって確認するほか,補助金による場合にはその見込みにより判断されます。 信用については,転用事業者の事業実績等から,総合的に判断されることになりますが,転用事業者に許可済地があり,その大半が完了していない場合(合理的な理由があり完了していない場合を除く)については信用がないものとみなされます。 また,転用事実確認証明書の発行後繰り返し,転用目的と異なる施設の用に供している様な場合についても,転用目的と異なる施設の用に供していることについて,やむを得ない事情がない場合は,信用がないものとして新たな許可は認められないことになります。 ② 申請に係る農地の転用行為の妨げとなる権利(法第3条第1項本文に掲げる権利)を有する者の同意を得ていない場合。(法第4条及び第5条第2項第3号) ③ 転用許可を受けた後,遅滞なく(おおむね1年以内),申請に係る農地を申請に係る用途に供する見込みがない場合。(則第47条第1号及び第57条第1号) ④ 申請に係る事業の施行に関して行政庁の免許,許可,認可等の処分を必要とする場合においては,これらの処分がされなかったこと又はこれらの処分がされる見込みがない場合。 ⑤ 申請に係る事業の施行に関して法令(条例を含む。)により義務付けられている行政庁との協議を現に行っている場合。(則第47条第2号の2及び第57条第2号の2) ⑥ 計画地区内に農地以外の山林,原野等の土地が含まれている場合には,それらの土地が申請に係る農地と一体として申請に係る事業の目的に供する土地として利用できる見込みがない場合。 ⑦ 申請に係る農地の面積が申請に係る事業の目的からみて適正と認められない場合。 ⑧ 申請者が法人である場合には,申請に係る事業の内容が法令又は定款・寄附行為において定められた目的又は業務の範囲に適合すると認められない場合。
◆周辺農地の営農条件への支障に関する審査項目 ① 土砂の流出又は崩壊のほか,ガス,粉じん,鉱煙の発生等により周辺の農地の営農条件への支障が生ずるおそれがあると認められる場合。(法第4及び第5条第2項第4号)
② 農業用用排水施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合。 ③ 申請に係る農地の位置等からみて,集団的に存在する農地を蚕食し,又は分断するおそれがあると認められる場合。 ④ 周辺の農地における日照,通風等に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合。 ⑤ 農道,ため池その他の農地の保全又は利用上必要な施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合。
◆一時転用する場合の審査項目 ① 一時転用の許可期間(農地の復元期間を含む。)が,必要最小限度の期間を超えていると認められる場合。
なお,一時転用の許可期間は3年を限度とされていますが,農用地区域外の農地であって、事業についての詳細な工程計画等により必要性が認められるものについては,3年を超え必要最小限度の期間まで許可される可能性があります。 [注1]農地法の第5条申請の場合は,農地所有者(譲渡人)との賃貸借(使用貸借)契約期間を限度とした上で,事業に必要最小限度の期間となります。 [注2]他法令の許認可が必要な場合は,他法令の許認可期間を限度とされます。 ② 事業の完了後にその土地が農地に復元され,耕作の目的に供されることが確実と認められない場合。(採草放牧地の一時転用の場合には,事業の終了後に採草放牧地に復元され,養畜の事業のための採草等の目的に供されることが確実と認められない場合)(法第4条第2項第5号、法第5条第2項第6号) ③ 農地法第5条申請にあって,申請権利者が所有権を取得しようとする場合。 ④ 資材置場,駐車場等で利用状況を確認する必要があると認められる場合。
◆土地改良事業受益地からの除外である場合の審査項目 ⓐ 土地改良事業計画の変更,土地改良区からの除外についての見込みがあること。
ⓑ 賦課金,負担金等の精算等残存農地耕作者に不利益を及ぼさない様、措置がされていること,また,その見込みがあること。 ⓒ 補助金等の返還措置の要否を確認し,また,その必要な手続きが講じられていること。 ⓓ 意見書の「3の(4)のエ及び5」欄に記載すること。
◆農地法第3条許可後の転用についての取扱い ① 取得後耕作されていたと認められる農地で法第3条許可時において予測もできない健康上,若しくは社会的な事態が発生し,緊急性を要するものでそれに対処するためやむを得ず転用する場合。
*健康上:農業従事者の重大なけが又は病気 *社会的:ア 公共事業又はそれに準ずる事業への転用など社会的要請に応えるための転用。 [注]社会的要請とは次のⓐ又はⓑに該当するものをいう。 ⓐ地元住民が利用する施設で,その施設を利用しようと待機している者が多数存在すること(妥当性を判断するため、審査時にお いて施設利用計画,施設利用者リスト,市町村長からの要望書等を求められます) ⓑ市町村に多くの要望や陳情がなされ,市町村長が特に必要性を認めた事業であること(例えば市町村議会において陳情書が採択された事業等) イ 事業地の一部に,その農地が含まれ,除外が困難な場合。 ウ 自らの農業用施設へ転用する場合(農地法第4条の場合のみ)。 ② 同一世帯内の農地法第3条許可であり,転用についてやむを得ない事情がある場合(農業者年金受給)。 |
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